株式会社サイバープロテックのサイバーセキュリティアカデミー(サイアカ)より、サイバーセキュリティに関する最近のインシデントや最新の動向などの情報をシェアする目的でニュースレターを発信させていただいております。今回は、2026年7月度のニュースレターとなります。

1. Anthropic、クロードがオープンインターネットをCTFと勘違し、3つの組織に侵入
Anthropicは7月30日に、同社のClaude Opus 4.7、Mythos 5、および名称未公表の研究モデルを含む3つのモデル(以下、まとめて「クロード」という)が、2026年4月以降のサイバーセキュリティのテスト中、同社の知らぬ間に3つの匿名の組織に侵入していたことをOpenAIの事件を踏まえた遡及調査の結果に基づき公表した。
クロードはモデルの能力を評価するためのキャプチャー・ザ・フラッグ(CTF)チャレンジを任されていたと言われており、その目的は、ネットワーク上の別のマシンに隠された秘密情報をあらゆる手段を使って見つけ出すことだった。
クロードに指定された評価指示書には、環境はシミュレーションであり、インターネットアクセスはないと記載されていたにもかかわらず、AIラボと評価パートナーであるIrregular社との間の「誤解」により、モデルがアクセスしたマシンがインターネットにアクセスできる状態になっていた。
その結果、クロードの調査はオープンインターネット上の実際のシステムにたどり着き、それらを演習の対象として扱うことになり、脆弱なパスワードや認証されていないエンドポイントの悪用など、基本的な手法を用いて、影響を受ける組織のインフラストラクチャを侵害することが可能になった。
AI企業が自社モデルの能力の限界を押し広げたことで評価を得たいのであれば、それらの機能をどのように公開、評価、管理、監視し、一般に提示するかについても、より大きな責任を負うべきである。また、強力な自律機能を伴う評価環境の周囲に強固なセキュリティ境界を構築することが必要である。
- 注目ポイント:自律型AI利用の安全性の評価、管理、監視の強化の必要性を示している。
2. CISA、米国水道設備への大規模サイバー攻撃を受け、水道業界に対しPLCの保護を強く要請
CISAは、7月26日と27日におけるミネソタ州の数十の水道・下水処理システムへの侵入被害を受け、7月30日に、インターネットに接続された制御装置(プログラマブルロジックコントローラ(PLC))をロックダウンするよう水道・下水処理事業者に強く求めた。
PLCは、水処理、ポンプ運転、薬品注入、廃水処理といった重要な物理プロセスを制御する産業用機器である。攻撃者はPLCのパスワードを変更し、オペレーターが機器にアクセスできないようにし、また、デバイスのIPアドレスを変更し、事実上PLCを管理組織から切り離すことにより、断水勧告や水道システムの長時間の手動操作などの業務の中断を生じさせた。
CISA は、所有者、運用者、システムインテグレーターに対し、PLCを直ちにインターネットから切断するよう強く推奨している。また、外部からのアクセスを遮断した後、電力会社はPLCイメージと構成のクリーンなバックアップの確保を求めている。
- 注目ポイント:インフラに対するサイバー防御の強化の必要性を認識させる事例である。
3. 米国、サイバーリスクを理由に外国製新型ロボットとパワーインバーターの輸入を阻止
米連邦通信委員会(FCC)は7月28日、外国製の移動ロボットとネットワーク接続型パワーインバーターを規制対象リストに追加した。この措置により、新モデルは米国への輸入、販売、マーケティングに必要な機器認証を取得できなくなるのが原則となる。
製造業者は、FCC(連邦通信委員会)を通じて条件付き承認を申請できる。ロボット機器は国防省(DoW)が承認する可能性があり、パワーインバーターは国防省または国土安全保障省(DHS)が承認する可能性がある。申請期限は2028年1月1日となっている。
ロボットの定義は、地上移動、障害物回避、またはナビゲーション機能を備え、人間の操作者から離れた場所でコマンドまたはセンサーデータを使用して操作できる機械式移動装置を指し、パワーインバーターの定義は、直流を交流に変換するシステム、またはその逆の変換を行うシステムを対象とし、遠隔通信、制御、センシング、データ収集、または監視のためのコンポーネントを含む。
「外国製」とは、48 CFR 25.101(a)のバイ・アメリカン基準の下で「国内最終製品」として認められない物品を意味し、ロボットもパワーインバーターも、ブランド名や国名で定義はされていない。
- 詳しくは:https://thehackernews.com/2026/07/fcc-blocks-new-foreign-produced-robots.html
- 注目ポイント: AIロボットも国家間安全保障上の重要な領域となってきた。
4. マイクロソフト、AIベースの攻撃に対抗するために設計されたエージェント型セキュリティプラットフォーム発表
マイクロソフトは7月24日、悪意のある攻撃者によるAIベースの攻撃という急速に進化する脅威に対抗するために設計されたエージェント型セキュリティシステム「 プロジェクト・パーセプション」の提供開始を発表した。Red Team(攻撃シミュレーション)、Blue Team(脅威分析)、Green Team(修復・パッチ適用)、ソフトウェア脆弱性管理、継続監視を含むセキュリティ業務全体を自律化するプラットフォームである。
同社はまた、「プロジェクト・パーセプション」を支えるマルチエージェント脆弱性識別・修復ツールの基盤であるMDASH(Multi-Model Agentic Scanning Harness)に、ユーザーが脆弱性を特定し、修復するのに役立つ新たなAIモデルであるMAI-Cyber-1-Flashを統合することを発表した。MDASHでは、100以上の専門AIエージェントを使ってソースコード解析、ファジング、脆弱性検証、PoC(概念実証)の生成などを自動で実施する。
MAI-Cyber-1-Flashは、すべてのタスクの最大90%を効率的に処理できるように設計されており、MDASHは、真に必要とされる極めて困難なタスクの10%に、自社のフリートの中で最も大規模で高価なモデル(この場合はGPT-5.4)を使用できるようになり、現在MDASHで提供している最上位モデル(GPT 5.4 + 5.4 mini + 5.3 codex)と比較して、 50%のコスト削減を実現するとしている。
- 詳しくは:https://news.microsoft.com/source/asia/features/rethinking-security-for-the-age-of-ai/?lang=ja https://microsoft.ai/news/introducing-mai-cyber-1-flash-inside-mdash/?_sp=2076d30a-5db3-4764-bca1-fd2a46f0a067.1785506435115
- 注目ポイント: AIを利用した自律的セキュリティ対応システムのモデル例となる。
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